金利のリスクを見える化
はじめに
今年、マイナス金利政策が解除され8月から各金融機関の金利が+0.15%上昇し、徐々に融資へも影響がでてきました。
そこで、金利が上がった際に何を気にしなければならないのか、そんな大切な指標を解説したいと思います。

不動産投資のDCR
不動産投資の指標の1つに「DCR」があります。
DCRは「Debt Coverage Ratio」の頭文字をとっており、日本語で言うと・・
負債支払安全率
ローン返済安全率
と呼ばれ、その投資における金利のリスクを次の式で表しています。
・不動産所得(NOI)÷年間返済額(ADS)=DCR
不動産所得というのは、家賃年収から「固都税、管理費、清掃費、原状回復工事費等」の諸費用を差し引いた後の純収入のことで「NOI」とも呼びます。
そして、年間返済金額は毎年支払う借入の返済金額のことで「ADS」と呼びます。
この不動産所得(NOI)を、年間返済金額(ADS)で割戻した時にプラスでないと、CFは黒字になりません。
もしNOIが100万円、ADSが80万円であった場合・・
NOI:100万円÷ADS:80万円=1.25
となりますので、将来的に金利が上昇しても「80万円×1.25倍」まで耐えられますが、この時の1.25がDCRです。
つまり、DCRは金利の上昇リスクを「見える化」しているのです。
そして、金利が0.5%上昇して年間の返済金額が上がれば、DCRは約0.1下がります。
今まで1.25倍まで耐えられていたのが、1.15倍までしか耐えられないことになり、もし、金利が1%上がればDCRは約0.2下がりますので、1.05倍までしか耐えられない計算になります。
それ以下になりますと、残念ながら赤字(キャッシュアウト)になります。

フルローンでの購入はDCRに気を付ける
ちなみに、このDCRはフルローンやオーバーローンで融資を引いた時に、特に気にしなければなりません。
理由は、返済額がそもそも高い時点で不動産投資をスタートしているからです。
さらに、「フルローン」が引ける物件は新築物件である傾向にあります。
そのため、新築物件は「プレミアム価格」が設定された高めの家賃設定である傾向にもあります。
ですから、購入当初のDCRは高く、安全圏の1.2前後であるケースが考えられるますが、安心してはいけません。
購入後に家賃が下がったり、想定外の空室が発生したり、想定外の空室期間が発生すると、DCRは一気に低下します。
仮に金利が1%上昇すると、DCRは0.9になりキャッシュアウトに転落するのです。

DCRの安全圏を保つ方法
DCRが低下するのを回避するには、3つの方法があります。
それは・・
- 家賃設定を上げ全体の家賃年収を上げること
- 繰り上げ返済で返済金額を下げること
- 短期で売却をすること
上の3つのいずれかを行うことで、DCR低下のリスクを回避することができます。
そして、2025年1月~6月にかけて更に金利が上昇する懸念がありますが、今であれば時間がありますので、回避するのに十分間に合うとも思います。
まとめ
SNS等でフルローンやオーバーローンを推している人は多いのですが、基本的にオススメしません。
それは、来るべき金利上昇のリスクを回避するためでもあり、せめて、自己資金10%は入れるべきであって、できれば自己資金は20%前後で検討することをオススメします。
今回は、「マイナス金利が解除になった場合のDCR」についてのお話しでした。
最後まで御覧いただきありがとうございました。
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