不動産投資の収益還元法(DCF法)

目次

DCF法

DCF法は「ディスカウント,キャッシュフロー」の略で事業の価値を推定する方法です。
ディスカウントとは「割引された」のことを意味し、キャッシュフローは「事業が生み出すお金」のことです。

割引率とは

例えば、100万円を金利10%で運用した場合、1年後に110万円を得ることになります。
逆に言えば、「110万円を1年後に得るには、金利10%で運用してくれる投資先にお金を預ければいい」ということにもなります。

この1年後に110万円になる権利を購入しようと思ったら、今、110万円で購入してはダメで、購入するには「リターン」を求めなければなりません。

つまり・・・
「将来得られる110万円の権利を、今110万円で買いませんか?」
という投資話には何の意味もなく、
「将来得られる110万円の権利を、今100万円で買いませんか?」
との交渉であれば、10万円の利益が生まれることになり、年率10%が得られることから、購入する価値はあります。

そして、「今100万円を払う事によって1年後に110万円が得られる」ということは、現在の100万円と1年後の110万円は同じ価値、ということになり、現在価値と将来価値は同じ、ということになります。

このように、DCF法では、その事業の年々のキャッシュフローに対して、投資家がリターンに満足して買ってくれる値段を考えていきます。

では、投資家が納得する将来キャッシュフローの割引率はどのように決めるのでしょうか。

割引率の例

投資家が10%のリターンを求めているということは、1年後に1.1倍になればいい、ということです。
つまり、1年後の将来価値を1.1で割り戻せばいい、ということにもなります。

例えば、金利10%が得られる物件に1,000万円投資し、毎年100万円のCFを6年間得て、6年目に1,000万円で売却したとします。

そして、1年目から6年目のCF100万円を1.1で割戻したのが下記の表になります。

1年目の現在価値は90万円
2年目の現在価値は82万円
3年目の現在価値は75万円
4年目の現在価値は68万円
5年目の現在価値は62万円
6年目の現在価値は、売却益を合わせて620万円

このように、将来得られるキャッシュフローを、一定の割合で割引きする計算(÷1.1)を「割引率」といい、投資家から求められている投資リターン(資本コスト)を意味します。

CF(キャッシュフロー)

DCF法とは、事業の収支であるキャッシュフローに注目して、そのキャッシュフローを割引計算し、事業価値を推定する方法でした。

それでは、事業が生み出すキャッシュフローとは、一体何なのでしょうか。

例えば、賃貸経営のCFを考えた時、① 資金調達が必要となり、② 賃貸経営維持と発展の為の設備投資が必要となり、③ 管理費等の運営費用が発生し、④ これらの一連を経て初めて家賃収入が入ってきます。

そして、②、③、④が事業のキャッシュフローであり、差引合計のことをフリーキャッシュフロー(FCF)と呼びます。

このFCFが、DCF法の割引対象となるキャッシュフローです。

FCF(フリーキャッシュフロー)

FCFは、②、③、④の差引合計であり、いわゆる「将来の集計結果」になります。

但し、実務的には細かい勘定科目を計算し、様々な予測値を計算しますので、1つ計算が間違えば、全ての集計に影響を及ばします。

ですから、今できる範囲内で最大限に合理的な予測を行いますが、その予測を期待値と呼びます。
要するに、期待値とは予測値であり、将来CFの平均値でもありますので、これをフリーキャッシュフロー(FCF)と呼びます。

そして、DCF法で物件評価額を求める計算は・・

FCF÷割引率

となり、不動産投資などで割引率を検討する際には、今回の記事を参考にして頂ければ幸いです。

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