「空き家問題の“本当の原因”と解決策」

実はあまり知られていない「土地家屋調査士」が、空き家問題の根本解決につながる理由

目次

誰でも分かる、空き家問題の仕組みと解決の流れ

空き家の悩みは、決して珍しいものではありません。
むしろ、全国で同じような問題を抱えている方が年々増え続けています。
そして、多くの空き家問題の背景には、


「所有者が誰なのか分からない」
「相続手続きが止まっている」
「境界が不明で売却や解体が進まない」

といった、専門的な知識が必要な課題が隠れています。

こうした問題は、ご自身だけで解決しようとすると非常に時間がかかり、どこから手をつければいいのか分からないまま、空き家が何年も放置されてしまうケースも少なくありません。

■ 空き家が放置される本当の理由

建物が古いからではありません

空き家が放置されてしまう理由の多くは、建物が古いからではありません。
実は、空き家が放置される最大の原因は所有者不明化 にあります。

具体的には、

  • 所有者が亡くなっている
  • 相続登記がされていない
  • 相続人がどこに住んでいるか分からない
  • 誰が管理しているのか不明

といった状況が重なり、「誰に連絡すればいいのか分からない」状態になってしまうのです。

所有者が分からないと、

  • 売却できない
  • 解体できない
  • 修繕できない
  • 行政も手を出せない

という、完全に“手詰まり”の状態になります。

しかし、実はこのような状況を根本から解決できる専門家がいます。
それが 土地家屋調査士(とちかおくちょうさし) です。

■ 土地家屋調査士とは?

不動産の世界ではよく知られている「縁の下の力持ち」

土地家屋調査士は、土地や建物の状態を正しく調べ、法務局に登録する国家資格者です。

一般の方には馴染みが薄いかもしれませんが、建築業界・不動産業界では欠かせない存在で、
家を建てるとき、土地を売るとき、相続した土地を整理するときなど、あらゆる場面で活躍しています。

土地家屋調査士の主な仕事は次の通りです。

  • 土地の境界を調べる
  • 土地の面積を測る
  • 建物が建ったときに法務局へ登録する
  • 土地を分けたり(分筆)、まとめたり(合筆)する手続き
  • 境界トラブルの予防や調整

つまり、土地と建物の“物理的な姿”と“法的な姿”を一致させる専門家なのです。


■ 多くの調査士は「測量士」の資格も持っている

測量のプロ × 法務のプロという珍しいハイブリッド

土地家屋調査士の多くは、測量士(または測量士補)の資格も併せて保有しています。
これは、境界を調べたり、空き家の土地を測ったりする際に、高度な測量技術が必要だからです。

つまり土地家屋調査士は、

  • 測量のプロ
  • 不動産法務のプロ

という、非常に珍しいハイブリッド型の専門家です。


■ 土地家屋調査士だけが持つ「職務上請求」という特別な権限

空き家問題の“最大の壁”を突破できる理由

土地家屋調査士には、職務上請求という特別な権限が法律で認められています。

これは、業務に必要な場合に限り、

  • 戸籍謄本
  • 住民票
  • 除票

などを取得できる制度です。
これらは本来、本人や家族しか取得できない大切な個人情報です。

しかし土地家屋調査士は「土地や建物の調査に必要な場合」に限って、これらの情報を取得し、所有者や相続人を調べることができます。
不動産会社や行政職員でもできないことが、土地家屋調査士にはできるのです。


■ 相続登記は義務化されたが、現場では“別の問題”が起きている

過料より固定資産税の方が高いという現実

令和6年4月から相続登記が義務化されました。
しかし、実務の現場では次のような現象が起きています。

● 相続登記をしない人が多い

相続登記をしないと、10万円以下の過料(罰金)が科される可能性があります。

しかし実際には、

  • 相続登記の費用
  • 専門家への依頼費用
  • 相続人同士の調整の手間

などを考えると、「過料の方が安いから、このままでいい」と判断してしまう人が少なくありません。
特に、固定資産税が安い土地の場合、

過料(最大10万円)<毎年の固定資産税を払い続けるコスト

となるため、
相続登記をせず現状維持を選ぶケースが非常に多いのです。
これは空き家問題をさらに深刻化させる大きな要因です。


■ 土地家屋調査士は、空き家の「持ち主探し」ができる数少ない専門家

所有者不明化した空き家にこそ力を発揮する

空き家の所有者や相続人を調べるには、戸籍をたどる必要があります。
しかし、一般の方や不動産会社は戸籍を自由に取得することはできません。

土地家屋調査士は、職務上請求によって戸籍を調べることができるため、

  • 空き家の所有者を特定する
  • 相続人を探し出す
  • 誰に連絡すればいいか明らかにする

といった作業を行うことができます。
これは、空き家問題の解決において非常に大きな意味を持つ能力です。


■ 空き家所有者が土地家屋調査士に相談すると、何ができるのか?

土地家屋調査士に相談すると、次のようなことが可能になります。

● ① 空き家の所有者・相続人の調査

戸籍をたどり、誰が所有者なのかを明らかにします。

● ② 土地の境界や面積の確認

空き家を売るにも解体するにも、境界がはっきりしていないと進められません。

● ③ 空き家の土地を測量し、図面を作成

売却や相続手続きに必要な「測量図」を作成できます。

● ④ 行政や他の専門家との橋渡し

必要に応じて、司法書士・弁護士・不動産会社などと連携し、空き家の問題を総合的にサポートします。


■ まとめ:空き家で悩んでいるなら、土地家屋調査士は“最初に相談すべき専門家”

空き家問題は、一人で抱え込むとどんどん複雑になってしまいます。

しかし土地家屋調査士は、

  • 測量のプロ
  • 不動産法務のプロ
  • 相続人調査ができる専門家

という、非常に頼りになる存在です。

空き家の所有者の方が「まず相談していい相手」として、もっと知られていい資格だと思います。

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