不動産の建物価格はどう決める?固定資産税評価額と節税の正しい考え方 

建物価格の正しい決め方|固定資産税評価額の按分と節税の合理的根拠を徹底解説

1棟収益不動産の購入時に重要となる建物価格の決め方を解説。
固定資産税評価額による按分の仕組み、売買契約書の建物価格が最優先される理由、建物割合を高く設定する際の合理的根拠、税務署の確認ポイントまで詳しくまとめています。
節税目的の不動産購入を検討する方に必読の内容です。 

目次

固定資産税評価額より優先される建物取得価額とは|不動産購入時の価格設定と税務上の扱い

1棟収益不動産を購入する際に、節税目的で建物の「減価償却」を行うためには、売買価格のうち「建物がいくらで、土地がいくらなのか」を明確にする必要があります。

その際に一般的に使われるのが、 「固定資産税評価額」による按分計算です。

固定資産税評価額は、自治体が土地と建物を別々に評価しているため、按分の根拠として公平で、広く使われているためです。

具体的には、市区町村から土地と建物それぞれの評価額が記載された「固定資産税納税通知書」が送られてきます。

【例】
・土地の固定資産税評価額:1,200万円
・建物の固定資産税評価額:800万円
・合計評価額: 2,000万円

⇒建物割合は40%(建物評価額:   800万円 ÷合計評価額:2,000万円 )
⇒土地割合は60%(土地評価額:1,200万円 ÷合計評価額:2,000万円 )

そして、購入価格が 3,000万円 の物件だった場合、建物と土地の価格を決めるには・・・

・建物価格:3,000万円 × 40% = 1,200万円
・土地価格:3,000万円 × 60% = 1,800万円

この 1,200万円 が減価償却の対象となる建物価格となり、契約書関係に記載する対象金額となります。

このように、自治体が土地と建物を別々に評価した固定資産税評価額が、按分の根拠として広く使われています。

但し、「固定資産税評価額を按分の根拠として使わなければいけない」という明確なルールは存在しません。

なぜなら、税務上、明確な按分基準が定められていないためです。

そして、税務上、建物の取得価額として最も優先されるのは、「売買契約書に記載された建物価格」です。

これは国税庁の明確なルールであり、「売主と買主が合意して決めた金額が最優先される」という考え方に基づいていているためです。

ですから、最も優先されるのは、 売買契約書に記載された建物価格(=合意した金額)となるわけです。

建物割合を高く設定する合理的根拠と税務署の否認リスク 

「売主と買主が合意して決めた金額が最優先される」という考え方に基づき、建物割合を土地割合よりも高くすることは、決して悪いことではありませんが、税務署から否認されるリスクも否めません。

そのリスクを回避するには「建物割合が土地割合よりも高い」という、十分に合理的に説明できる理由が必要となります。

【具体的な合理的理由】
・建物の固定資産税評価額が土地より高い
・土地は地域特性(駅距離・傾斜地など)により評価が低い
・建物の状態が良好で、+20%の価値上昇が妥当
・今後の修繕工事により建物価値がさらに向上する見込みがある
・近隣の土地実勢価格(直近の成約事例3件ほど)や公示価格から導いた取引単価を敷地面積にかけ、売買価格から差引いた価格を建物価格とする等々。

これらの理由から、「建物>土地」という状況は十分に合理的であり、税務署に対しても説明可能となります。

このように、十分な理由があれば、建物割合が否認される可能性は低いと考えられ、実務上も、建物割合や契約書の建物価格を理由に否認される事例は、少ないと思われます。

但し、固定資産税評価の按分が「土地>建物」であった場合、そして、売買契約を「土地<建物」で結ぶ予定とした場合に、どちらを減価償却の対象とするのかを税務署へ問い合わせれば、固定資産税評価額の按分、と答えるでしょう。

税務署は「適正な税徴収」が使命です。

税務署の使命は国民から適正に税を徴収することにあり、その性質上、納税者にとっては「真面目に申告するほど負担が重くなる」と感じられる側面もあります。

そのため、いかに税負担を抑えつつ手元資金を残すかは、一種の知恵比べのような面もありますが、いずれにしても、税務署の否定的な回答=正解という意味ではありません。

節税目的の不動産購入が抱えるリスクと「土地<建物」を成立させるための正しい判断基準

節税目的で不動産を購入する場合、まず理解すべき重要なポイントは「節税目的の不動産購入は本質的にリスクが高い」という事実です。

これは、不動産評価の仕組みや税務署の判断基準、そして節税スキームの構造そのものに起因しています。

特に中古の収益物件では、固定資産税評価額の構造上 「土地の評価額が建物より高くなる(=土地>建物)」 というケースが非常に多く見られます。

建物は年数が経つほど評価額が下がる一方、土地は劣化しないため評価が維持されるからです。

しかし、減価償却による節税効果を得たい投資家にとっては、建物価格が高いほど償却できる金額が増えるため、 建物割合を高く設定したい というニーズが生まれます。

つまり、中古物件の多くが「土地>建物」であるにもかかわらず、節税効果を出すためには「建物>土地」に近づけたいという矛盾が発生します。

ところが、税務署は「適正な税徴収」を使命としているため、建物割合を高く設定した場合には、その合理性を厳しく確認します。

合理的な根拠があれば問題ありませんが、根拠が弱い場合は否認リスクが生じます。 

このリスクを避けるために投資家が取るべき戦略は明確で、建物割合を高く設定しても合理的に説明できる物件=土地<建物の物件を選ぶことです。

そして、この条件を満たす物件は、実務上ほぼ 築浅物件 に限られます。

築浅であれば建物の評価額が高く、土地より建物の価値が大きくなるケースが増えるため、建物割合を高く設定しても合理性が担保されます。

つまり、節税目的で不動産を購入する場合には、

・中古物件は「土地>建物」が多く、節税効果を出しにくい
・節税効果を出すには「建物割合を高くする」必要がある
・しかし税務リスクを避けるには「土地<建物」の物件を選ぶ必要がある
・結果として、選択肢は築浅物件に絞られる

という構造的な制約が存在します。

このように、節税目的の不動産購入は、物件選びの自由度が大きく制限されるうえ、税務署の判断も絡むため、慎重な検討が不可欠です。 

いずれにしても、建物の取得価額として税務上もっとも優先されるのは、固定資産税評価の按分ではなく、売買契約書に記載された建物価格です。

これは「売主と買主が合意した金額が最優先される」という国税庁の考え方に基づいており、実務でも広く認められ、合理的に説明できる根拠があれば「土地<建物」であっても問題ないと思われます。

税務署は性質上、納税者に有利な回答を避ける傾向があり、相談すると否定的な意見を述べられることもありますが、それは必ずしも「否認される」という意味ではなく、あくまで慎重な姿勢を示しているにすぎません。

とはいえ、「土地<建物」が絶対に否認されない、とは言えないので、物件選びや税務判断を誤ると期待した効果が得られない可能性があることを理解したうえで、節税物件を購入する際には、慎重に判断しましょう。

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