「利回り」ではなく、BSで「利益」を見るべき

不動産投資の利益において、多くの投資家様はキャッシュフローの側面から、「家賃収入ー支出(ローン・税金など)」と考えがちです。

ですから、収益不動産の購入を検討される時、「表面利回り」を主軸として、購入の判断を下す投資家様はとても多いかと思います。

これはCF(キャッシュフロー)やPL(損益計算書)をベースとした考え方ですが、不動産投資では、どちらかというとBS(貸借対照表)ベースで利益を捉える必要もある、と考えます。

目次

1億円の物件を買ったら、見え方が3つある!

あなたが「建物5,000万円+土地5,000万円=合計1億円」の不動産を買ったとします。
でも、「この不動産の価値っていくら?」と聞かれたら、何と答えるでしょうか?

見え方①:帳簿価額

💬 帳簿価格とは「買ったときの値段」で、会計処理、資産管理、減価償却の計算などの場面で使います。
簡単に言えば、帳簿価格は実際に払った金額そのまま
会社のノート(帳簿)に「建物5,000万円」「土地5,000万円」と記録され、減価償却によって建物の価値のみ、少しずつ減っていくイメージです。

見え方②:時価評価

💬 時価評価とは、「今売ったらいくらになる?」ってこと
時価評価は、景気や立地で値段が左右され、1億円以上で売れるかもしれないし、8,000万円でしか売れないかもしれません。
投資家や金融機関はこの「時価」で売却価格を判断しますので、「時価」を資産価値として判断することが多い傾向にあります。

見え方③:税務評価

💬 税務評価とは「税金を決めるための特別な値段」で、税金の申告、節税戦略、相続対策などで使う場面が多いと思います。
税務署が「路線価×土地」の広さで土地評価額を計算されることが多く、固定資産税や相続税の計算に使われます。

3つの見え方のまとめ

評価の種類どんな値段?使う場面
帳簿価額実際に払った金額(1億円)会計・資産管理
時価評価今売れる値段(例:1.2億円)売却・担保・投資判断
税務評価税務署が決める値段(例:8,000万円)税金の計算(固定資産税など)

BSで見る利益とは?

利益の定義

以上のように、不動産の評価には3つの評価があります。
これらを基に、不動産投資はBS(貸借対照表)ベースで利益を捉える必要もあります。

BSベースの利益 = 借入金の減少額 + 時価の増加額

つまり、以下の2つが「BSベースの利益」になると考えます。

  1. ローン返済によって借入金が減ること
    → 自分の資産(純資産)が増えている
  2. 物件の時価が上がること
    → 帳簿上は変わらなくても、実際土地の価値は増えている

例:1億円の物件を購入(借入7,000万円+自己資金3,000万円)

項目初期
借入金7,000万円
帳簿価額1億円
時価評価1億円
自己資金3,000万円

初期のBS(例)

借り方貸し方
建物
(固定資産)
5,000万円借入金
(長期負債)
7,000万円
土地
(固定資産)
5,000万円純資産
(自己資金)
3,000万円
借方合計10,000万円貸方合計10,000万円

5年後のBS(例)

借り方貸し方
建物
(減価償却累計
△1,000万円)
4,000万円借入金
(返済合計
△2,000万円)
5,000万円
土地
(毎年時価上昇
+1,000万円)
6,000万円純資産
(自己資金)
5,000万円
借方合計10,000万円貸方合計10,000万円

💡 利益の正体は?

BSベースの利益 = 借入金の減少額(2,000万円)+時価の増加額(1,000万円)=3,000万円

この「利益」はPLには出てきませんが、BSを見れば一目瞭然です。
資産が増え、負債が減っている=あなたの“本当の利益”です。
つまり、BSベースの利益は、借金が減った分と、土地の価値の上下で見えるのです。

・ローンを返すと、借金が減り自分の持分が増える
・土地の価値は時間とともに少しずつ増える

ただし、この「BSの利益」は、どんな物件にも当てはまるわけではありません。
「BSの利益」を上手に生み出すには以下の点が重要です。

・表面利回りが高い物件に依存しない⇒BS思考になる
・表面利回りが低くても立地(都市部)にこだわる⇒時価上昇
・借入金の返済額を多くする(返済期間短縮)⇒持分比率を高める
・自己資金を10%~20%投下する⇒純資産増加

今回は「利回り」ではなく、BSで「利益」を見るべき、という内容でした。
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最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

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