YG(イールドギャップ)とは何か?
イールドギャップ(YG)は、不動産投資における重要な指標の一つです。これは、物件の収益率(FCR)とローン定数(K%)の差を示しています。具体的には、次の公式で表されます。
FCR – K% = YG
ここで、FCRは物件の純収益(NOI)を購入価格で割ったもので、K%は年間返済額を借入額で割ったものです。
具体的に購入物件と融資条件をペルソナ
例えば、以下の内容で物件を購入した場合を考えてみましょう。
キャッシュフロー(CF)ツリーを作成して・・
上記も物件を購入した場合、キャッシュフロー(CF)ツリーは以下の通りです。
【CFツリー】
まず、この場合のFCRは・・
陣取り合戦!銀行と投資家の取り分の行方は?
今回の融資条件におきまして・・
「融資割合:90%」「自己資金割合:10%」
ということは、「銀行の取り分」と「投資家様の取り分」は以下のようになります。
※初めに、NOI:525万円の図
※「銀行」と「投資家様」の取分の図
以上の「銀行」と「投資家様」の取分の図から、銀行の取り分が大幅に上回っていることが分かりますが、次の図で、銀行は90%にあたる472万円の全てを求めないことが分かります。
これは、融資資割合90%分を「金利1.2%」「期間35年」で貸出し、金利は各年へ分配される為、借入金の年間返済額が抑えられることを意図します。
そして、余ったグレーの部分がイールドギャップ(YG)となり、YGの公式をあてはめますと・・
5%(FCR)-3.5%(K%)=1.5%となり、下の図のようになります。
そして、YG:157万円と、投資家様取分52万円を合計すると209万円となり、税引前CF(BTCF)そのものになります。
【CFツリー】
このように分析すると、イールドギャップ(YG)とは、金利と期間を鑑みてK%を低くした努力が結びつく、いわゆるボーナスのようなもので、金利を低く、期間を長く調整することで、このボーナス幅を広げることができます。
そして、その調整ができるのは個人属性に託され、ご属性が高ければ不動産投資は有利である、と言われる所以はここにあります。
まとめ
YGに拘りすぎると売却を見据えた出口戦略が懸念されます。というのも、YGを高くするためには、K%を抑えなければなりませんので、必然的に融資期間を長くしようとする意識が芽生えますが、融資の期間が長ければ長い程、残債の減りが遅くなり、売却利益が得られない、という状況が生じます。
よって、期間と金利のバランスを考慮しながら、また、FCRを上げる努力をしながら、賢い投資を選択するよう心掛ける必要があります。